受験生フィールド

鬱屈した爆発! 鬱屈した爆発! 鬱屈した爆発! 誰があなたがココに来ることを予期しただろう?

新潮新人賞

今日、第44回新潮新人賞『肉骨茶』『黙って喰え』を読んだ。
個人的には『黙って喰え』だけの受賞でよかったと思う。
『肉骨茶』は漢字が読めないだけじゃなく、ただ作者のボキャブラリーから未使用の単語が、それこそ未来に列を作って並び、出番に従って登場しているだけのような気がした。
自分の語彙力のなさも気にならなくなるほどだった。
 
『肉骨茶』
『ドライブ感』を選考委員はほめていたけれど、クライマックスで赤猪子が土鍋に直面する場面に見られるような「最後まで我慢する、でも我慢できずに爆発する感情」は、(自分の貧弱な読書記憶の中では)川上未映子の『乳と卵』と重なって新鮮でもなく、汗や涎などの単語を並べた、「この種の小説」以外の何物でもなかった。
ゾーイーは「赤猪子の母親はひどい。ろくに食べさせてないのね」と言うが、赤猪子がそうメールで伝えたのだろうか?自分は拒食症だというのに?謎だった。
紘一の存在も謎だった。食をテーマにした(あるいは摂食障害?)リアルな小説の中で、いささか人間らしくない異質な存在だった。
彼がいないと話は回らなかったが、彼がいたことによって、この小説はどういった個性もしくは可能性を伸ばしえたのだろうか。謎だった。
 
『黙って喰え』
相対的に読みやすかったし、話もテンポよく、眞壁君の手紙も面白かった(川上さんはつまらないと評していたが)。
どうでもいいことだが主人公の女友達の名前が好みだった。遥、志保。いいと思う。総じてネーミングセンスがいいと思う。
「読中感」(「読後感」に倣って)は、主人公の心情とは対照的にとても心がわくわくするものだった。
読者に、登場人物の人柄への嫌悪を起こさせるような人物描写ができている作家を、僕は尊敬するが、この小説の中の苗代さんに対して僕は嫌悪を感じた。
面白かった。
 
自分もこういう小説が書けるような継続力がほしい。