受験生フィールド

鬱屈した爆発! 鬱屈した爆発! 鬱屈した爆発! 誰があなたがココに来ることを予期しただろう?

天才じゃないから謝らなくてよい

今日は六本木の森美術館まで赴き、会田誠展「天才でごめんなさい」を観てきた。
一般入場料は1500円。観終わった後で考えたけど、まあ妥当な金額だと思う。
全体としては、つまらなくはなかった。でも(自分の価値観からすれば)駄作が結構多かった。
 
自分は新聞記事でこの作家と展覧会を知り、展覧会HPで『滝の絵』を観て行くことにした。
他の個人ブログ等で語られていたのは、主に「美少女」と「エログロ」というキーワードの範疇においてだったので、
自分は特に変態ではないわけだけども、美少女画に興味を覚えてふらふらと。
 
駄作だと思ったのは、ゴキブリがいる屏風とか、天皇を崇める一言だけ書いた屏風とか、子供時代に戻って描いたポスターや、ビンラディンのビデオ映像とか、切腹女子高生とか…多数。
芸術家の人気があるおかげで、オークションなどでその人の遺した創作ノートとか高値で売れるモノが世間にはあるわけだけど、
まだこの人はそういう域に達してないのに(すごく上から目線です、すいません)創作ノート並みの水準の作品が結構あったと感じられた。
 
逆に面白いと思ったのは、メジャーでない作品から言うと一人デモ行進マシーン(これがアイデアとしては一番面白かった)とか、巻物に2ちゃんスレが書き込んであるやつとか、ピンクの部屋(いかがわしいという意味ではない)とか。
 
滝の絵は「ほう、これが」という感じで圧倒された感は無かったけど、これはある意味楽園だなあと思った、自分は特に変態ではないわけだけども。
確かにこういう「いける女の子」ばかりを集めた状況というのは、絵画でないと生み出せない。
絵の中にいる少女たちには、「漫画」ではないあくまでもリアルな質感を持たせている点で、
現実のアイドルグループや、週刊漫画雑誌における美少女漫画の巻頭カラー・キャラクター勢揃いバージョンなどが手にできない「実現可能に見える楽園」が、この作品にはあると感じた。
まぁつまるところ、「女の子かわいいな」です。
余談ですが、勝手に「きっと『滝の絵』のクリアファイルがお土産にあるだろうから買って帰ろう」と思っていたのですが(笑)、ありませんでした。あったら買ったのに。残念。
 
『巨大フジ隊員とキングギドラ』は確かにエロいんだけど、何かが足りない!
涙を流してんのはいいけど、切なさがない!
キングギドラの頭が入ってんのはいいけど、リアルじゃない!
キングギドラに組み敷かれてるのはいいけど、直前まで争ってた形跡がない!
不完全なリアルさとエロさとグロさだけだった印象を受けた。
作品自体がでかかったのと、下着は良かった(自分は特に変態ではないわけだけども)と思う。
 
『マウントフジ・ガール』はなんか良かった。ちんまりした感じで。
 
ゴキブリ合体の絵は、特に感想は無かった。作る意味がわからなかった。
 
『犬』シリーズ。これは「芸術っぽいな」と思えた作品群。中でも「野分」の少女の表情が、絵中の彼女の状況において自然。この作品に限らず、たまにハッとする表情を描くね。
 
人造食用少女美味ちゃんは、海苔巻とかは「そのまんまじゃん」と思ったけど、
とれたてイクラのやつは、自分の嗜好には合わなかったけど、うん、まあいいと思う。
 
『大山椒魚』は上の少女の表情が印象的でよかった。自分は特に変態ではないわけだけども、つるんとしたとことか(変態か)。
 
ジューサーミキサーはアイデアがよいと思うし、ひとつひとつに表情があったところがいい。
最低部の刃が回っているはずのところは、なぜかグロくなかったけどなんでだろ。描くのがめんどかったのかな。
こんなこと考えてもしょうがないんだけど、この少女たちはどうしてこうなってるのかね。
たとえばミキサーの中の少女たちが全部苦悶の表情を浮かべてたら、物語が生まれそうなところだけど、
この作品の中の少女は楽しそうだよね。なぜ?ただミキサーの中に少女を配置したからだよ。
思うに作家の「嗜好」と「アイデア」しか入ってなくて「物語」がないから今一つ惹きこまれないんだと思う。
キングギドラと同じパターン。
 
青磁器』も、会田氏じゃなくてもだれかやりそうなことだよね。
 
一番面白かったのは『ミュータント花子』だった。
ちょっと突飛なただのエロ漫画じゃん!って感じなんだけど、ちょっと泣ける内容でした。
あれの単行本とか土産コーナーに置いてあれば買ったかもしれないのになー。
(部屋に来た客人とかに見つかったらその場で破砕するかもしれないけど)
 
そんなわけで、私は土産コーナーでポストカード2枚を買いました。(ケチだねー!)
結論として、会田誠は別に天才じゃないと思う。
エロ漫画家でもいいんじゃないかなーと思いましたとさ。
 
さらに余談
『考えない人』はちょっとは考えたほうがいいと思った。
あそこだけ写真撮影可能だったのに、目の前でカメラしまっちゃったよ。